美容鍼灸は、薬剤を用いることがないため副作用のリスクが無く、また外科的な施術とは異なり腫れや痛みのダウンタイムがほとんどない、自然で身体に優しい美容施術です。
しかし、鍼を身体に刺すという施術であることから、避けることができないリスクがあります。
それは、出血や内出血を起こす可能性があるということです。
健康な血管は、弾力に富んでいますので、鍼がふれてもよけてくれます。
しかし、血流の滞りなどにより血管に充分な酸素が送り込まれていないなどの影響で血管の健康状態が損ねられ、弾力性を失っている場合には、鍼を避けきることができずに損傷してしまいます。
お顔には、身体の他の部分に比べて毛細血管が密集して存在しているため、身体よりも出血や内出血が起こる可能性が高くなります。
しかし、これら出血や内出血は身体の正常な生体反応ですので、それが起こることを予測したり、起こることがないように(毛細血管を避けて)鍼を刺すということはできません。
内出血が起こるとどのようになるのか
内出血は、肘を何かにぶつけて打撲を起こした時などにできる青あざと同様で、これが起こると皮膚が青色や赤みがかった紫色に見えるようになります。(大きさはコインサイズ)
血液は赤い色なのですが、青みがかって見えるのは皮膚のメラニン色素の影響によるものと言われています。内出血は皮膚が薄い部分にできると目立ちやすくなります。
お顔では、特に目の周囲の皮膚が薄く、その部分で内出血が起きると、目立ちやすく、また広がりやすい傾向があります。
そのため内出血のリスクを低下させるためにはこの部分への施術を避けることとなります。しかし、お悩みによっては、お客様にご相談して施術内容を調整しつつ、その部分へ施術することもございます。
時間差で現れる場合もある
皮膚のごく表面に近い位置の血管が損傷した場合にはすぐに内出血が確認できるのですが、皮膚の比較的深い部分の血管が損傷した場合には、すぐには内出血となって現れず、数時間後、時には翌日以降に出てくることがあります。
また、施術直後には点のようなわずかな範囲だった内出血が、時間の経過とともにやや広がって来ることもあります。
またその場合、重力によって下側に広がることが多く見られます。
また、血管の損傷がごく僅かで、血液がにじみ出るほどの状態ではない場合には、内出血になることはありません。
しかしその後に、お顔をマッサージしたり、洗顔の際にゴシゴシと強く皮膚をごすったりなど強めの刺激を与えてしまうと、血管の損傷が大きくなって内出血が起きてしまうこともあります。
そのため、美容鍼灸の施術を受けた後には、お顔への強い刺激は避け、お肌を優しくいたわる様にしてあげることが、内出血の予防としては重要です。
早い場合は3日ほどで、通常は1週間~数週間程度で完全に吸収され、どんなに目立つ内出血となった場合でも必ず消えて、痕に残るということはありません。
内出血は決して悪いものではない
私たちの身体には傷などのダメージを修復し、再生する働きが備わっており、これを創傷治癒(そうしょうちゆ)といいます。
出血・内出血した場所においても、血中に含まれる成分などの働きにより修復し、再生を促していきます。
東洋医学などでも身体の状態に応じて、古くから行われている手技・技法の中には出血や内出血を伴うもの(刺絡、吸角など)もいくつかあり、流れの悪くなった血流を改善させ、より良い状態へと改善させるのにも用いられてきました。
内出血が発生した場合、見た目としてあまりよくないですが、傷の修復・肌の再生にはいい影響を与えてくれます。
内出血を早く治すには
(1)早めに冷やす
患部に痛みや熱を持っている場合は、冷やしましょう。炎症がおきています。
アイスノンや氷を入れたビニール袋を、薄手のタオルやハンカチで軽く覆い、優しく添えるようにして冷やしてあげてください。
(2)熱が引いたら温める
1~2日ほどで炎症が治まります。
次に内出血が出た部分を温めてあげます。
血行が良くなりその部分に酸素や栄養がたくさん運ばれてくるようになりますので、治りが早くなります。
水やお湯で濡らしたタオルを軽く絞って電子レンジで1分ほど加熱し、その温めたタオルをそっと添えるようにして温めてあげてください。
内出血になりやすい方
(1)身体を何かにぶつけた時に青あざができやすい方
ぶつけた記憶がないのに、ふと見ると青あざができている、という方は、内出血が起きやすく、
またそれが頻繁に起こる場合は後述のような他の病気の可能性もありますので注意が必要です。
(2)貧血気味の方
貧血気味の方は鉄分不足になっています。鉄分は血管を健康に保つために必要な栄養素でもありますので、貧血気味な人は血管が損傷しやすい状態になっているといえます。
(3)冷え症の方
冷え症の方は血液の循環が悪いために内出血が起きた際の回復に時間がかかる様になることから、他の人よりも目立ちやすくなる傾向があります。
(4)病気をお持ちの方
紫斑病(しはんびょう)
毛細血管や血小板、血液の凝固因子に問題が生じる病気です。
細菌やアレルギーなどが要因となって免疫に異常が起こって現れる病気です。
毛細血管が損傷しやすくなり、さらに止血しにくいため、内出血の青あざが起こりやすくなります。